[内分泌かく乱(環境ホルモン)]
・ポリカーボネート製給食食器 環境ホルモンに問題なし(高温使用せず)-災害備蓄品に再利用(H15.09.18 北陸中日)
美川町(石川県)は、環境ホルモン溶出の恐れが一部で指摘されたため、廃棄する予定であったポリカーボネート製給食食器を防災備蓄品として再利用することを決めた。ポリカーボネート製給食食器は高温の湯を入れると、生殖機能に害がでるとされるビスフェノールA(BPA)が溶け出す可能性があるとして、1998年ごろから学校給食初期として使わない自治体が多く出た。町では、未使用品を含め保管していたが、「廃棄するより防災備蓄品にしたほうがよい」という意見がでた。「防災備蓄品食料で高温を使うことがないため、安全性に問題がないと判断、また防災備蓄品は長期にわたって使用する可能性が少ない、捨てるよりも環境負荷は少ない」と説明している。
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<Pマガジン編集子の一言> |
環境ホルモンの疑いがあるBPAの溶出の恐れがあるとの指摘から、使用を中止する学校が多くでてきました。しかし、実際のプラスチックの食器に熱湯や高温の食べ物を入れて使用するでしょうか? 十分な試験がされないまま他の材料に切り換えられた食器やこわれて子供がケガをしたというガラス食器にくらべても、「強い、こわれにくい、安全衛生性にも優れているなどの特徴をもつポリカーボネート製食器がもっと使用されてもよいのでは」と考えています。
・プラスチック樹脂から出るBPA-胎児に影響の恐れ(H15.09.22 朝日)
環境ホルモン(内分泌かく乱)が指摘されているビスフェノールA(BPA)が肝臓の特定の酵素との反応で、作用が約1千倍強い物質に変化することが、吉原教授(広島大)らの研究でわかった。健康な成人の体内では起こりにくいが、肝臓が機能し始めたばかりで解毒作用が弱い妊娠後期の胎児は直接影響を受ける可能性があるという。ネズミの肝臓をすりつぶした成分をBPAと反応させ、生成物の環境ホルモン性を調べた結果、肝臓中の複数の酵素との反応で、BPAから4種程度の物質ができることが判明した。その中の特定の反応で生じるやや大きい分子の物質がBPAの数百〜1千倍の環境ホルモン性を示した。同様の酵素をもつヒトの肝臓組織でも同じ反応が起こることがわかった。BPAの環境ホルモン性は、本来の(人自身が体内でつくる)女性ホルモンの数千〜1千万分の1程度(非常に弱い)とされるので、この生成した物質は、BPAと女性ホルモンの中間程度の作用があると見られる。
<井口教授(岡崎国立共同研究機構)>
BPAの重要な毒素をとらえた研究成果だ。妊娠中の特定の時期にこの生成物が働く恐れがあることを意味し、人間に近いサルを使って胎児への影響を調べる必要がある。
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<Pマガジン編集子の一言> |
この内容は、当Pマガジンの5月号NEWSに掲載した内容と同じものです。「環境ホルモン性」というあいまいな尺度で毒性が説明され、また、詳しい内容が不明の状況で、「胎児への影響の恐れ」とするのは、消費者を不安にするだけの相変わらずの報道と思います。これまでの動物実験結果では、肝臓の代謝物の影響も含めて行われてきましたが、何ら影響は認められていません。 |