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[内分泌かく乱(環境ホルモン)]

・リスク評価で中間報告−のニルフェノールなど3物質(H16.3.10 化工日)
独立行政法人・製品評価技術基盤機構(NITE)は、内分泌かく乱作用の疑いが社会的関心を呼んでいるノニルフェノールなど3物質に関して、リスク評価結果を踏まえた適切な管理のあり方を探るため、産官学の有識者からなる研究会を設置して検討していた。 リスク評価管理の中間報告がまとめられたのはノニルフェノール、フタル酸エステル、ビスフェノールA(BPA)の3物質。
有害性評価や暴露評価がOECDやEUでもおこなわれ、わが国でも経済産業省、厚生労働省、環境省などで進められ、産業界においても自主的な取り組みが個別に成されている。NITEでは、3物質について有害性評価及びリスク評価の現状、生産から廃棄に至る使用、環境への排出実態、産業界の自主的な取り組みなどを検討した。
ノニルフェノールの主用途である界面活性剤ノニルフェノールエトキシレートを中心に製造・使用・廃棄にいたる情報収集、PRTRデータとの比較した環境への放出量、放出源など、フタル酸エステル類については最も生産量の多いDEHP(ジエチルヘキシルフタレート)の国内外の有害性評価書、製造・使用・廃棄にいたる実態調査、環境への放出量及び濃度の推定などを行なった。BPAについては、国内外の有害性評価およびリスク評価の現状把握、及びマテリアルフローと放出シナリオの検討を行なった。

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国内では、なぜ内分泌かく乱物質とうたがわれるかの根拠が明らかでないまま、内分泌かく乱物質(環境ホルモン物質)と断定するような報道や発表が多くみられます。一方海外では、明確でない段階で断定することなく、科学的な試験研究がなされています。もちろん国内でも行なわれています。今回の実態調査、有害性の調査、リスク評価書の調査等に基づく対策が効果的な対策に結びつくと思います。
*中間報告の概要が、NITEのホームページ(http://www.safe.nite.go.jp/index.html)に掲載されています。

・東京都:人の尿に含まれ処理後の海への排水中の女性ホルモンで魚がメス化 (H16.4.3 朝日)
東京湾の魚に見られる「メス化」現象の主な原因は、下水処理水に含まれる天然女性ホルモン(人の体内でつくられる)の可能性が高いことが、東京都環境科学研究所の調査でわかった。メス化は人工の化学物質と女性ホルモンの複合作用が原因と見られてきたが、「人工の化学物質より、女性の尿などに含まれる女性ホルモンの影響が大きい」としている。
人間の女性や動物のメスの尿などに含まれる女性ホルモンは、魚のオスが一定量を摂取すると、体内でメス特有のビデロジェニンを生成し、精巣内に卵細胞を形成することがある。同研究所は、2002〜2003年、東京湾の京浜運河などの下水処理場に近い海域を中心に魚19種類861匹を捕獲し、調査した。その結果、ボラ、コノシロ、サッパ、ヒイラギのオス23匹のうち、5匹の精巣内に本来メスが持つ卵細胞があった。 卵細胞がなくてもビデロジェニンの血中濃度が、汚染の少ない九州などの海のボラ(オス)と比べ、数百から数千倍に上るものがあった。下水処理水には、メス化の一因とされる人工の化学物質の環境ホルモン(内分泌かく乱化学物質)も含まれるが、天然女性ホルモンのほうがメス化を促す作用が強いという。同研究所は既に実験で、下水処理場で育てたメダカがメス化する現象を確認している。
今回調査した下水処理場に近い海域の女性ホルモン濃度は、沖合の海水に比べて、最高4倍に上るなど高かった。一方、男性ホルモンの魚への影響については、世界的に調査研究が少なく、未解明な部分が多いという。
和波研究員は「メス化の原因としては、環境ホルモンが、注目されがちだが、生態系保全のためには、天然女性ホルモンを視野に入れた対策が必要」と話している。

Pマガジン編集子の一言コメント付きマーク <Pマガジン編集子の一言>
天然の女性ホルモンはホルモン性が強く、魚のメス化にはその影響が大きいのではないかとの指摘があっても、人工の化学物質が河川から検出されただけで、「人工の化学物質が魚のメス化の原因である」との発表や報道が繰り返されてきました。その代表的な例が多摩川のコイです。今回の調査と研究は、これまでの調査や報道の誤りを指摘すると共に、適切な対策の方向を示すものと思います。